産業医設置の基準
企業がある程度の規模に成長すると、企業は「産業医」と呼ばれる医師を選任しなければなりません。
産業医の選任には、労働安全衛生法などによって定められた明確な基準がありますから、これらの基準をしっかり確認して産業医を選任しましょう。
まず、産業医を専任する際の注意点としてあげられるのは、企業の従業員数です。
基本的には、労働者を50名以上雇用している事業場の場合は、労働安全衛生法によって産業医の選任が義務付けられています。
また、労働者が50名に満たない企業であっても、月80〜100時間超の残業をした労働者がいる場合は産業医の選任が必要になります。こちらも労働安全衛生法によって定められているルールとなります。
嘱託産業医と専属産業医
産業医を選任したら、ただ専任するだけでなく、当然産業医による健康管理や指導が必要になります。
産業医は、毎月1回以上の事業場訪問と労働者の健康管理・指導などを行います。
企業内における労働者の疲労蓄積をチェックし、労働者本人の申し出があれば面談を行ったりもします。
面談によって得られた結果の記録は産業医が5年間保管しなければならないという義務も課せられています。産業医が機能しているかどうかは、労基署の立入検査で調査されます。
そのため産業医と企業は、訪問した実績を「面接指導結果報告書」などの記録として残しておく必要があります。
ちなみに、産業医の数も決められていて、労働者数が多い大企業(従業員数3001人以上)になると、専属の産業医が2名必要となります。
産業医には専属と嘱託の産業医がありますが、従業員数が少ない企業(50〜499人)の場合は産業医は嘱託で1名でOKです。
従業員数が500〜999人までの企業も産業医は1名で嘱託でもOKという場合がありますが、労働安全衛生規則第13条第1項第2号で定める業務(有害な業務と言われるもの)に常時500人以上の労働者が従事している場合は嘱託ではなく専属の産業医が必要となります。